木は節があってあたりまえ
節は枝の痕跡です。枝が生きたまま、包み込まれたのが生節(いきぶし)です。枯れてから包み込まれたのが、死節(しにぶし)です。死節は幹とつながっていないため、抜けてしまうこともあり、その場合は木片を詰めて、補修をします。
全く節の無い材は「無節」といい、最高級品として珍重され、小さな生節が少しある材は「上小節」といい、上等されますが、節があっても強度が劣るわけではありません。誰もが木に枝があるのは当たり前と知っているのに、材木になると、無節に価値を求めるのはちょっとおかしいとは思いませんか?
「1等材」といわれる節のある安価な木材を、節も味わいと考えて、使ってみる事をお勧めします。
木の家は地震に弱くない
木造の家は、鉄筋コンクリート造りの家より、地震に弱いと思われているようです。確かに阪神淡路大震災では、木造住宅が莫大な被害を受けました。しかしそれは、木造住宅の数の多さと、メンテナンスが正しくなされていなかった為に、大切な個所が腐ったり、シロアリでやられていたり、施行不良があったというような木造その物の問題ではない原因が数多くあったのです。
そもそも重さあたりの比強度において、優れている木材で作られた木材住宅は、その重量が鉄筋コンクリート造りの家より軽くなります。自身のエネルギーは建物の重さに比例して、重い建物ほど大きなエネルギーがかかってきますから、軽い木造の方が、地震力にうまく抵抗する事が出来ると言えます。
地震力や台風時の風圧力に対し、しっかり考えられ、さらに長持ちする為の工夫がなされた家ならば、大きな地震でも簡単に壊れる事はありません。
太くて厚い木は燃えにくい
木は燃えやすいと言われますが、太くて厚い木はそう簡単に燃えません。木が燃え始めて、表面が黒く焦げてきたところを炭化層と言います。この炭化層は熱を伝えにくく、酸素を運びにくくするので、燃える速度は弱まります。
ある程度厚みのある木材の燃え進む速さは、1分間に0.6mm程度と言われていますから、太い柱や梁ならば30分間火にさらされていても、表面から18mm程度焦げて、中身は残っているということです。
又、5×10cmの木と鉄の梁を荷重をかけながら燃やす実験では、鉄は5分も経たないうちに強度が半分になるのに対して、木は10分経っても強度が80%を保っています。
火事の被害では有毒ガスを吸って逃げ遅れるということが多く、これは内装材のプラスチックや化学繊維が燃えて、有害ガスが出るからです。それに比べて木は煙も少なく、一酸化炭素は出しますが、他の有害ガスはほとんど出しません。
木の家は腐りやすい?
木を腐らせる腐朽菌はキノコの仲間なのですが、この腐朽菌も適当な温度と水分と酸素、そして栄養分が無ければ生きて行けません。その栄養分が木そのものなのです。木を使う場合、この栄養分を排除することはできません。
又、酸素も温度もコントロールしにくいものですが、水分は比較的コントロールが簡単です。まず、水が染み込まない工夫と湿度の低い状態にする工夫が必要になります。そして、木にも腐りにくい木、腐りやすい木がありますから、地面に近い土台には腐りにくい木を使うなど、適材適所を守る事が大切です。
又、年輪の中心部を心材(赤身)といい、外側を辺材(白太)といいます。辺材は栄養分を蓄える働きをする柔細胞が活動をしているため水分と養分が多く、心材は細胞が既に活動を終え、固定化しています。心材が辺材に比べて腐りにくく、虫が付きにくいのはこの為なのです。ですから、腐りにくい材種であっても心材を使う事が基本です。
木材になっても呼吸している
木は伐採してもそのまま生き続けています。だから、木材は周囲の湿度に反応して、湿気を吸いこんだり、吐き出したりしているのです。専門用語で言えば「平衡含水率」といいますが、木の水分がある温度と湿度の元でつりあうと木材は安定します。地域や季節など条件によって違いますが、日本の平均値としては、温度20度、湿度75%の場合、含水率は15%程度で安定します。
このような平均状態にある木材は、梅雨時のように空気中に水分が多い時、その水分は木の細胞の空いた部分に入り込み、逆に冬の乾燥をした空気中へは木材内の水分が飛び出していき、一定の含水率を保とうとするのです。これが湿度を調整するということになります。
木は伸び縮みをする
山から取られたばかりの木は、たくさんの水分が含まれています。かつては、スギを伐採したあと、枝をつけたまま数ヶ月放置して、葉から水分を放出する葉枯らし乾燥を行い、材を運び出したり、実際に使うまで半年ぐらい寝かせて、自然乾燥をしてきました。このように木が使われるまで、たっぷりと時間をかけていた時代には、その時間の中で、木がゆっくりと乾燥をしてきました。
葉枯らし乾燥を今もおこなっている産地もありますが、最近は木材を乾燥室に入れて、蒸気乾燥や減圧乾燥,高周波乾燥処理などで、人工乾燥する方法が多くなっています。木材はある一定以上の乾燥が進むと縮み、逆に水分を吸収すると伸びる傾向があります。
この伸び縮みは木の細胞の大部分が縦方向に並んでいるので、縦の方向にはほとんど縮みませんが、横の方向には数%縮みます。よく乾燥して、水分が安定した木材ならば、反ったり、縮んだり、割れたりはしにくいものです。もし、乾燥が足りない木材で家を建ててしまうと、木材が乾燥するにつれて、縮みやわれを生ずる事がありますから、十分な注意が必要です。
又、木には適切な伐採時期があることも知っておいてください。木は春から夏にかけて、水分や養分を根から吸い上げて、活発に成長をします。つまり、この時期の木は水分や養分が多く、カビや害虫に侵されやすいのです。木の活動が停止している秋から冬にとった木の方が木材に適していると言えます。
木は熱を伝えにくい
木に触ると、ほんのり暖かいという経験をしたことはありませんか?例えば、寒い冬の朝、コンクリートの床の上を素足で歩いていたら、身が縮んでしまいますが、木の床の上なら平気で歩く事が出来るというような。これは木材には熱を伝えにくいという性質があるからです。
熱の伝えやすさを熱貫流率という数値で表しますが、同じ厚さの木材とコンクリートを比べると、コンクリートは木の5倍も熱を伝えやすいのです。コンクリートが木に比べ、寒い時には冷たく、暑い時には熱くなりやすいことを意味します。
又、木は熱を伝えにくい上、細胞はたくさんの空気を含んだ構造になっているので、急に熱くなったり、冷たくなったりしません。特に厚みのある木は断熱性も高くなります。厚板の床が気持ちがいいのはこのためということが出来ます。
木は鉄より強い
木の断面を拡大すると、たくさんの細長い細胞が木の縦方向に壁を立てるような形でびっしりと並んでいる事がわかります。木が生きている間は、ここをパイプのようにして、栄養分や水分を運んでいたのですが、この構造こそが木材が横方向より縦方向の方が強いという理由です。
縦方向の強度が横方向の3倍から20倍もあります。木と鉄の強度を比べてみると、スギの縦方向の引っ張り強さはcm2あたり900kgぐらいなのに対し、同じ断面積の鉄の棒では約5tになり、鉄はスギの5.5倍の強さがあることになります。しかし、スギは鉄に比べて格段に軽く、比重で比べれば、スギが0.38、鉄が7.8です。
重さあたりの強度で比べてみれば、スギは鉄に比べて4倍近く強度があるのです。つまり、同じ強度の家を作ろうとすると、鉄骨造りやコンクリート造りの重さは木造の家に比べ、かなり重くなってしまい、確実にコストアップにつながると言えます。
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