和室は針葉樹がメイン

木の持ち味を生かした空間と言えば、まず第一に和室があげられるかもしれません。木と畳と紙と土で作られた空間と言うのが、誰もが抱く和室のイメージでしょう。

全体的にはヒノキやスギといった針葉樹を使い、所々、床柱や床椢に味わいのあるケヤキやマツなどさまざまな木を使って楽しみます。鴨居などは得に心材ばかりでなく、心材と辺材が混ざった源平材や節のない辺材がむしろ好んで使われます。

押入れや納戸の壁にスギ板を

直接肌に触れる肌着や寝具をしまう押入れと納戸の壁にはスギ板などを使う事をお勧めします。節のある材ならば、ベニヤ板とさほど変わらない価格で出来ます。

人目に触れない場所だから何でもよいということでなく、昔の蔵がそうであったように、こういうところにこそ、吸放湿性や断熱性に優れ、科学物質を含まない自然素材の安心感が重要なのです。

子供部屋はラフな木の使い方を

子供部屋はラフな木の使い方を

子供部屋の床は、節の多いヒノキ板やスギの厚板を使ってみるのもよいでしょう。例えば、足場板などにも使われていたスギの厚板ならば、無垢材でも価格は安く、節のあるラフな質感も味わいがあるものです。

壁もポスターなどが自由に貼れる様に、節のあるスギやベイ杉などを使ってみましょう。又、2階の階段ホールのコーナーにスギ材の本棚を作れば、木で囲まれた暖かくて居心地のいい場所になります。

本棚は家具職人さんに頼まず、大工さんに作ってもらえば、さほど費用はかかりません。

床に座る板の間ならばスギ材も

現代的な掘り炬燵や大きな座卓を用意した板の間を居間,食堂として使うのもいいものです。この場合は、やわらかく傷がつきやすいと言われるスギ材も安心して、床に使う事ができます。

柔らかさがむしろ肌触りのよさにつながります。又、床板は通常は1.5cm厚くらいの板材を使いますが、3cmぐらいの厚材を使うと、足触りもよく、床に直に座っても冷たく感じません。これは厚くすることによって、断熱性が増すからです。

イスを使う部屋の床は堅めの材を

一般的な洋室では、比較的堅い広葉樹のナラやブナを使ったフローリングがよく使われますが、合板に1mmほどの薄い突き板を張ったものが多く、無垢フローリングはとても高価です。

スギやヒノキの柱や梁をそのまま現した真壁工法の家には、床も針葉樹で揃えた方がまとまりのあるインテリアを作り出せます。アカマツやヒメコマツのような堅い針葉樹。

そしてカラマツ,ヒノキ,ヒバなども適していると言ってよいでしょう。広葉樹の中でもサクラはスギやヒノキにも違和感なく調和します。

玄関まわりに使う木は?

玄関の上がり框には、ケヤキやサクラのような広葉樹の堅木が使われています。これは玄関の上がり框は、物をぶつけたり、傷つきやすい位置にある為、柔らかい材では傷がつきやすいという理由と、玄関を家の顔としてとらえ、品格のあるケヤキやサクラの木目の美しさを見せるという意味合いもあるでしょう。

しかし、そこにちょっと腰掛けたりする事を考えれば、床と同じ材、例えばスギ材などを使って、肌触りを大切にするのもよいと思います。玄関の靴箱はデザイン次第で、飾り棚としての役割も果たしますから、その天板は樹種を問わず、無垢板を使って、木目の美しさを味わいたいところです。

浴室に木を使う時は換気を大切に

木の香りがする浴室は、心身ともにリラックスができます。ここは水に強いヒノキやヒバの心材が適しています。スギも心材なら安心して使えます。

壁は水のかかりやすい1mぐらいはタイルで仕上げ、その上部を板壁にする。天井は水滴が落ちるように、勾配天井にする。床も水がたまりやすい周囲は、タイルにして、肌触りのよさが必要な中央部には、スノコ板にして、その下部に排水溝を設けるといった工夫をしましょう。

壁内では結露を生じないように、機密シートを張った上に板を張るというのもよい方法です。又、浴室に木を使う場合は、換気を充分にして、湿気をためない事が何よりも大切です。

台所やトイレも木の床に

食堂から連続する台所,廊下から続くトイレは、バリアフリー対策としても、床がそれぞれ同じ仕上げでつながっていたほうがよいと思います。

台所やトイレの床は汚れやすいので、木の床をためらう人も多いですが、ヒノキ,スギ,ヒバ,マツなどの木の床はお手入れ次第です。汚れをまめに拭く事を習慣にしてしまえば、木は永年の間に磨かれて、ピカピカに光沢のある床になるはずです。

階段の踏み板は強度のあるマツを

階段まわりに使う板は24cmほどの幅広い板を使うので、木のボリューム感が現れてきます。材種は床材と同じヒノキを使うこともあれば、そこだけ変えて他の樹種を使うこともあります。

片側だけが壁に接している片持ち構造の階段を作るときは、特に材の強度も必要になりますから、マツやベイマツを使うとよいでしょう。スギを使いたい場合は、少し厚めの板にすれば、問題はないでしょう。

アプローチを木レンガや枕木で

玄関までのアプローチやカーポートの床は、タイルやモルタルが一般的ですが、木レンガや枕木敷きにすると、ほのぼのとした雰囲気で、人を迎える場になります。

木レンガは製品化されたものもありますが、スギやヒノキ,クリなどの10cm角の心持ち材を10cmずつに切り、サイコロ状にし、砂でならした下地に敷き詰めていく事もできます。木レンガを使う場合、浸水,排水をしっかりと考えておかないと、雨の日は木レンガに水がたまり、滑りやすくなるので、注意をしてください。

枕木はご存知の通り、電車のレールを支えていたものですが、これが廃物利用されています。最近、JRや私鉄の払い下げ品が少なくなってきましたが、クリ材の新品も出回っています。

カーポートにはスギかベイスギを

せっかく家を建てても、既製品のアルミのカーポートをただ使うだけでは、何となく味気ない気がしませんか?土台,柱,梁に屋根をかけた木のカーポートは、簡単に作ることができますから、家と一体に考えた計画をしたいものです。

又、カーポートや門扉とからめて作るパーゴラは、雨がかかる場なので、梁の上に金属板をかぶせて保護します。材種はスギの心持ち材か、ベイスギが適しています。

板塀にはスギがぴったり

外壁と違って、板塀は高さが2m以下ならば、都市部でも規制はないのですが、最近はアルミフェンスのようなメンテナンスフリーの商品が好まれるせいか、新築で板塀をする家は少なくなりました。

しかし、板塀は季節の花や実をつける樹木とよく合い、街並みに安らぎを与えてくれます。板塀に適すのは、国産材で最も多い木材であるスギです。

かつて、スギの産地はどこも外壁材や板塀に使う羽目板を生産していましたが、すっかり需要が減った現代、活路を見出せない産地もあります。板塀をぜひ、見直したいものです。

デッキにはヒバやクリの芯材を

居間や食堂を外部に延長したようなデッキスペースは、大引きの上に木の床がスノコ状に張られています。雨はスノコの間から落ち、浸透して、地下水になってくれますし、スノコ下部は光が乏しいので、雑草だらけになってしまう心配もありません。

デッキ材は当然、雨を水平に受ける事になりますから、外壁よりも条件が厳しいことになります。適する材種は、やはり水に強く、腐りにくいヒバやクリの心材です。ヒノキやスギの心材も使われますが、耐用年数はやや落ちます。腐らない既製品もありますが、コストはかなり割高です。

デッキ材は厚くすれば、持ちもよくなりますが3~4cmくらいが適当でしょう。デッキ材の下地になる大引きは、デッキ材と同じ材種か、防腐・防蟻剤を加圧注入した材を使います。

板張りの外壁には表情がある

白い漆喰塗りの蔵は腰高から下が板張りであることが多いですよね?それは、雨水のハネなどで、塀が汚れても、板壁ならば洗うだけで、簡単に汚れを落とせるからです。

こうした板壁の家並みは、永い間、日本の風景を作ってきたのです。現代は防火規制があって、特に都市部では、外壁に板を張ることが難しくなってきました。そうした規制を受けない地域でさえ、よりメンテナンスの楽なサイディングなどが多く使われ、味気ない街並みになっているのが現状です。

張り方によっては様々な表情を見せてくれる板張りの外壁の良さを見直したいものです。外壁に適すのはヒノキ,ヒバ,スギ,カラマツなどの心材です。いずれも水に強い材ですが、塗装は必要です。

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