梁(はり)
梁には床を作り、床の荷重を受けて、下の柱に伝える為の床梁と、屋根の荷重を受けて、それを下の柱に伝える為の小屋梁とがあります。
荷重を受ける梁には、強度が要求されますから、アカマツが適していますが、最近はマツ食い虫にやられて、アカマツが少なくなり、それに代わるものとしてベイマツ(ダグラスファー)がよく使われます。
又、強度が確かなものであれば、スギを使う事が出来ます。
筋違い(すじかい)
筋違いは部材の中で歴史が浅く、耐力壁を作るために壁の中に入れる斜め材の事を言います。これは、ただ入れるだけでは、その役割を充分果たす事は出来ません。
圧縮力にはこの斜め材が踏ん張って、抵抗しますが、引っ張り力に対しては、しっかりと結合されていないと、即座にバラバラになってしまいます。筋違いと横架材、柱との接合は必ず金物を使わなければなりません。
また、筋違いの部材は断面が45*90mmの半割材を使う事をお勧めします。
耐力壁(たいりょくかべ)
構造用合板による耐久壁が、総合的に一番確実に耐久を確保できると考えてよいでしょう。これは他の合板とは強度,耐久性とも全て違います。構造用合板を使うべき壁に、型枠合板(コンパネ)などが張られる事がないように、構造用合板のマークをしっかり確認する必要があります。
釘は決められた種類の釘を(M50)を決められた間隔で(150mm)で打ち付けなければなりません。構造用合板の命は釘と言っても過言ではありません。
母屋(もや)
屋根を作るために、最も高い棟木と最も低い桁との中間の高さにあって棟木と平行に垂木の下に架けられた部材を母屋と呼びます。
又、棟木と同様に屋根の荷重を受け、小屋束へ力を伝えるのですが、小屋裏空間を作る場合は母屋の断面寸法を大きくする事も必要になってきます。
大引き(おおびき)
大引きは1階の床を支える横架材で、その端部は土台で止められています。床はこの大引きの上に、根太を一定間隔で打ち付けて、床板を張って仕上げます。
大引きは普通、半間(約90cm)間隔でいれますが、床に厚板を使う場合は、根太を省略して、厚板を直接大引きの上に張る事も出来ます。床の荷重は大引きが受け、それをさらに半間間隔に立てた床束が受けて、基礎や地盤に伝えます。
桁(けた)
外壁面の1番上部にあって、棟木と平行な部材が桁です。役割としては柱の上部をつなぐ部材で、さらに屋根を作る垂木を受けて、その屋根荷重を下の柱に伝えます。
又、風圧力を直接受けるので、屋根が持ち上がらないように、桁と垂木の接合部分は確りとしたものでなくてはなりません。
胴差し(どうざし)
胴差しは2階の床を作る為の部材です。外壁のまわりにあって、通し柱と通し柱をつないでいます。又、耐力壁である外壁を作る大切な部材でもあります。
棟木(むなぎ)
屋根を作るために桁と平行に、最も高いところに位置する部材が棟木です。
骨組みの組立完了日を上棟と呼ぶのも一本一本加工された部材を組上げていって、最も高い位置にある棟木を組んで完了というけじめの一本だからです。
棟木は屋根の荷重を受け、小屋束から小屋梁に伝える役目を果たしています。
間柱(まばしら)
柱と柱の間にあって、横ものの間に立てる柱を間柱と言います。柱と言っても正角ではなく、通常45*120mmの平角の部材です。
間柱は壁を作る為の下地材であり、壁の厚さによって、部材寸法が変わりますから1つの建物に数種類の寸法の間柱が必要になります。
壁の中に隠れてしまう部材ですが、仕上がり面の壁を変形させないよう、壁内に水分を出す事のないよう、よく乾燥させた木材を使用する事が大切です。
束(つか)
短い垂木材の事を総称して束と言います。小屋束は母屋を支える束、床束は大引きを支える束です。
管柱(くだばしら)
1階のみ,2階のみにある柱を管柱と言います。1階では、梁は胴差しにかかる力を受けて支える部材で、2階では、小屋梁や桁にかかる力を受けて、さらに下部に伝える役割を果たしています。
又、耐久壁を作る大切な部材です。材種はヒノキ,スギ,ヒバ,ベイスギ,ベイヒバを使いますが、ケヤキやクリを使った民家もあります。
真壁工法の場合、柱は割れを生じないよう、背割れをした材が使われますが、柱の脚部に重要な接合部がある場合は、背割り材でない方がよいでしょう。
土台(どだい)
建物の最下部で、基礎と建物の骨組みをつなぐ重要な役割を果たしているのが土台です。地面が最も近い為、菌やシロアリに侵されないように、それらに強いヒノキ,ヒバ,クリが使われます。
ただし、必ず心材(赤身)であることが条件です。その他の材を使う場合は、防腐防蟻剤を加圧注入した材でなければなりません。又、適した材を使ったとしても、土台周辺を風通しがよく、水分の少ない環境にしなければ、その性能を発揮できません。
通し柱(とおしばしら)
2階以上の建物で、1.2階を貫いている柱を通し柱と言います。
建物の四隅には必ず必要な柱です。梁や胴差しとの接合部分には、かきとる溝ができるため、断面が4寸以上の材でなければなりません。
材種としては、ヒノキを始め、スギ,ヒバ,ベイマツを使う事もできます。
貫(ぬき)
柱を貫いて、柱と柱をつなぐ部材が貫です。壁を作る下地材ですが、耐力壁を作る重要な部材でもあります。
ただし、貫材の厚みが30mm以上のものを耐力壁を構成する貫と考えたほうがいいでしょう。
貫の作る耐力壁というと、一般に土塗り壁を指し、構造合板や筋違いで作る耐力壁と比べて、耐力は劣りますが、粘りがあって、変形しても極端な破壊に至らないのが特徴です。
貫の変形はそのまま壁の変形に影響をしますから、よく乾燥をした木材を使う事が大切です。
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